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テーマ型ファンド比較 / 資金使途の読み方

融資型クラウドファンディングはESGで選べる?資金使途はプロジェクト区分で絞り込める|2026年8月版

資金使途公開:2026年8月28日最終更新:2026年8月28日文:凛

※本記事には広告(PR)を含みます。

本記事は情報提供を目的とした解説であり、特定の金融商品の取得を勧誘するものではありません。融資型クラウドファンディングの出資持分は元本が保証されているものではなく、貸付先の財務状態や為替・金利の変動等により損失が生じる可能性があります。また、あらかじめ定められた運用期間どおりに償還されない(償還が遅延する)ことがあります。本文中の数値は2026年8月28日に各公式ページで確認したもので、最新の内容および個別ファンドの条件は、必ず事業者の公式サイトおよび契約締結前交付書面でご確認ください。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。

結論から言うと、融資型クラウドファンディングをESGの視点で選ぶときに見る場所は、事業者ではなくファンド1本ごとの「資金使途」です。ESGファンド(投資信託)なら、目論見書に評価基準や除外業種が書かれています。融資型クラウドファンディングにはそれに当たる書類がありません。代わりに使えるのが、ファンド一覧の絞り込みに用意されたプロジェクト区分です。実際に区分ごとに数えてみると、資金の行き先の偏りがはっきり見えました。

融資型クラウドファンディングを「ESGで選ぶ」とは、何を見ることですか?

投資信託とは判断材料の置き場所が違います。ESGファンドであれば、どの指標でESGを測り、どの業種を除外し、議決権をどう行使するかが目論見書と運用報告書に書かれています。だから「中身が看板と合っているか」は、書面の上で確かめられる話になります。この読み方はESGファンドとは?仕組みと選び方の注意点で整理したとおりです。

融資型クラウドファンディングでは、この構造がそのまま使えません。投資家が出資するのは匿名組合契約に基づく持分で、事業者はその資金を貸付に回します。開示されるのはファンド1本ごとの資金使途・運用期間・目標利回り・担保の有無といった条件で、「このファンドはESG基準を満たしている」という評価はどこにも書かれません。ESG格付機関がスコアを付けているわけでもありません。

つまり、ESGの観点で見たいなら判断は自分の側に残ります。事業者の看板、たとえば第一種金融商品取引業者かどうか、上場企業グループかどうかは運営体制の話です(この登録区分そのものをG軸として読んだ回はクラウドバンクの「第一種金商業者」ステータスをESGガバナンス軸で読み解くにあります)。お金がどの事業に流れるかは、それとは別の論点になります。環境や社会という軸で見るなら、後者を1本ずつ確認するしかありません。

整理:事業者を見る=G(ガバナンス)の話。ファンドの資金使途を見る=E(環境)・S(社会)の話。融資型では両者が自動的には結びつかないので、分けて確認します。

資金使途は、どこで絞り込めますか?

ファンド一覧の検索条件を見ると、意外と細かく分かれています。クラウドバンクの場合、ファンド検索には「地域」と「プロジェクト」という2つの絞り込みが用意されていました。

プロジェクトの区分は次の15種類です。太陽光/風力/バイオマス/水力/地熱/建設・不動産事業/物流/宿泊・飲食/エンターテイメント/医療・ヘルスケア/水処理/廃棄物処理/金融・マイクロファイナンス/IT・ソフトウェア/その他。再生可能エネルギーが電源種別まで分かれています。水処理と廃棄物処理も独立した区分です。E軸で見る人には、そのまま使える粒度と言えます。

地域のほうは、日本/カナダ・米国/中国/アジア・オセアニア/欧州/アフリカ・中南米・その他の6区分でした。新興国のマイクロファイナンスに資金を回したいのか、国内の再エネに限定したいのか。S軸の関心は、この2つの絞り込みの組み合わせで表現できます。

再生可能エネルギーの案件数を、区分ごとに数えた

数えました。2026年8月28日にクラウドバンクのファンド検索で区分をひとつずつ切り替え、表示された件数を記録した結果が下の表です。絞り込みの対象になっていたのは7,268件でした。

プロジェクト区分別のファンド数(クラウドバンクのファンド検索で2026年8月28日に確認。ファンド検索で絞り込める全件を母数とした本数の内訳/構成比は四捨五入のため合計が100%にならないことがあります)
プロジェクト区分ファンド数構成比
太陽光3,10042.7%
建設・不動産事業2,64336.4%
金融・マイクロファイナンス5958.2%
バイオマス4165.7%
その他2823.9%
風力1922.6%
水力320.4%
医療・ヘルスケア40.1%
物流40.1%
地熱/水処理/廃棄物処理/宿泊・飲食/エンターテイメント/IT・ソフトウェア0
合計7,268100%

太陽光・風力・バイオマス・水力の4区分を足すと3,740件で、7,268件のおよそ51%にあたります。ここで数えているのはファンドの本数であって、金額ではありません。1本あたりの募集額は数百万円から数千万円まで幅があり、金額ベースの構成比は公開されている情報からは計算できません。「案件の半分が再エネ区分」であって「資金の半分が再エネに流れた」ではない、という読み方になります。一方で地熱・水処理・廃棄物処理は区分こそ用意されているものの、該当するファンドは1件もありませんでした。絞り込みメニューにある=そのテーマの案件が実在する、ではないということです。

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クラウドバンク 本記事は広告を含みます。紹介に関し成果報酬を受領する場合がありますが、記載内容は公式サイトで確認した事実に基づいており、評価には影響しません。出資持分は元本保証ではありません。

プロジェクト区分だけで、ESG適合を判断してよいですか?

区分は資金使途の分類であって、ESG適合の証明ではありません。同じ日の一覧を眺めていて、わかりやすい例に出会いました。「系統用蓄電池事業支援ファンド」の第60号から第63号(いずれも目標利回り7.1%・運用期間10ヶ月)が、太陽光ではなく「その他」に分類されていたのです。系統用蓄電池は再生可能エネルギーの出力変動を吸収する設備で、脱炭素インフラの文脈で語られる分野です。それでも区分名は「その他」でした。

逆方向のずれもあり得ます。「太陽光」に分類されていても、その資金が新設の発電所に向かうのか、既存設備を持つ事業者の運転資金に回るのかは、区分名からは判別できません。区分は入口の絞り込みには有効で、適合の判定には足りない。この線引きを持っておくと、後で困りません。

看板と中身のずれを疑う目線そのものは、ESGファンドを見るときと同じです。判断の手順はグリーンウォッシュを見抜く5つのチェックポイントにまとめています。融資型の場合、最終的に当たる書面は目論見書ではなくファンドごとの契約締結前交付書面になります。

資金使途より先に、見ておく数字がある

ESG適合を考えるより先に見るべき数字があります。融資型クラウドファンディングは、貸したお金が予定どおり返ってくることを前提にした仕組みだからです。クラウドバンクは運用実績のページで、全ファンドの状況を内訳付きで公開していました(2026年8月28日現在)。

全ファンドの運用状況(クラウドバンク運用実績ページ・2026年8月28日現在)
状況ファンド数全体に占める割合
償還済み7,64194%
正常運用中1632%
分配遅延中741%
償還遅延中2323%
元本棄損00%

ここで数字の出どころに注意が要ります。この表の合計(8,110本)と、先ほどのプロジェクト区分の合計(7,268件)は一致しません。前者は運用実績ページ、後者はファンド検索の集計で、母集団の取り方が異なります。ふたつの表を足し引きして使うことはできない、という前提で読んでください。

全体で見れば94%が償還済みです。ただし運用中のファンドだけを分母にすると景色が変わります。同じページには「運用中ファンドの状況」として、正常運用中35%(163本)、分配遅延中16%(74本)、償還遅延中49%(232本)と表示されていました。3つを合計すると469本です。過去の累計と、いま動いているものの状態は、別々に読む必要があります。

利回りについても注記の読み方が要ります。トップページに掲げられた実績平均利回り6.35%には、次の注記がそのまま添えられていました。

2026年3月末までの1年間に運用終了した税引前のファンド実績値。なお、2026年3月末までの3年間に運用終了したファンドの税引前実績平均利回りは6.04%となっております。将来の運用成果を保証するものではなく、運用中のファンドや償還が遅延しているファンドは含まれておりません。

遅延中のものを除いた集計だという点は、上の内訳と合わせて読むと意味が変わってきます。将来の成果を保証しないという断りも、事業者自身が明記しているとおりです。償還済みファンドの損益実績の分布でも、+4〜+7%が4,437件と最多である一方、マイナス圏(−30〜0%)も110件ありました。

費用面は「手数料・リスク等の広告記載事項」に書かれています。口座の開設・維持および匿名組合契約の締結に関する手数料等は無料で、投資家が負担する営業者報酬は「投資ポーション毎の対象債権残高の2.0%(年率)に相当する金額を上限」とされていました。ただし同じページには、運用に関連して支払われる費用は状況に応じて異なるため金額・上限額・計算方法および営業者報酬との合計額を具体的に記載することができない旨も明記されています。総コストが事前に確定しない構造は、信託報酬が数字で示される投資信託とは異なる点です。投資信託側のコストの見方はESGファンドのコストは高い?信託報酬の目安と確認のしかたで扱っています。

なお、募集はいつでも開いているわけではありません。2026年8月28日時点の「最新のファンド一覧」は「現在、募集中のファンドはございません」という表示でした。買いたいときに買える商品ではない、という前提も持っておくと計画が立てやすくなります。

確認の順番を5段階に整理する

ESGを軸に融資型クラウドファンディングを検討するなら、次の順番が現実的です。区分から入ると気持ちよく進みますが、元本と利息が戻ってくる前提が崩れていたら、ESG適合は意味を持ちません。

  1. 運営体制を確認する(登録区分・分別管理・監査の有無。この軸の読み方はESGガバナンス軸の回で扱っています)。クラウドバンクの場合、運営は日本クラウド証券株式会社で、第一種・第二種金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第115号と表示されていました
  2. 運用状況の内訳を見る。累計だけでなく、運用中を分母にした遅延の割合まで確認する
  3. プロジェクト区分で候補を絞る(ここでE軸・S軸の関心を反映させる)
  4. 個別ファンドの契約締結前交付書面で、資金使途・担保・運用期間・報酬を読む
  5. 区分名と実際の資金使途が一致しているかを自分の言葉で説明できるか確かめる

1と2を飛ばして3から入るのが、いちばん起こりやすい順番の崩れです。表示されている利回りは、遅延したファンドを除いた集計かもしれません。まずそこを踏まえ、そのうえで環境や社会という軸をどう乗せるかを考える。ESG投資を長く続けるなら、この順番のほうが結局は早いと思います。

制度の枠組みそのものを確かめたい方は新NISA対象のESGファンドはどこで調べる?もあわせてどうぞ。なお融資型クラウドファンディングの匿名組合分配金は、NISAの対象ではありません。

よくある質問(FAQ)

Q. 融資型クラウドファンディングにESGファンドのような評価基準はありますか?
ありません。投資信託であれば目論見書にESGの評価方法や除外業種が書かれますが、融資型クラウドファンディングで開示されるのはファンド1本ごとの資金使途・運用期間・目標利回りなどで、ESG評価そのものは示されません。判断は事業者の看板ではなく、ファンド単位の資金使途を自分で読む形になります。
Q. 資金使途はどこで絞り込めますか?
クラウドバンクの場合、ファンド検索に「プロジェクト」という絞り込みがあり、太陽光・風力・バイオマス・水力・地熱・建設/不動産事業・物流・宿泊/飲食・エンターテイメント・医療/ヘルスケア・水処理・廃棄物処理・金融/マイクロファイナンス・IT/ソフトウェア・その他の15区分に分かれています。地域による絞り込みも別に用意されています。
Q. 再生可能エネルギー関連の案件はどのくらいありますか?
2026年8月28日に区分ごとに数えたところ、ファンド検索で絞り込める7,268件のうち太陽光が3,100件、バイオマスが416件、風力が192件、水力が32件でした。4区分の合計は3,740件で、およそ51%にあたります。地熱は該当するファンドがありませんでした。これは本数の割合であり、金額ベースの比率ではありません。また、現在募集中の本数でもありません。
Q. プロジェクト区分だけでESG適合を判断してよいですか?
区分は資金使途の分類であって、ESG適合の証明ではありません。同じ日の一覧では、系統用蓄電池事業支援ファンドが「その他」に分類されていました。脱炭素インフラという性格を持つ案件でも、区分名からは読み取れないことがあります。最終的な確認はファンドごとの契約締結前交付書面など公式の書面で行ってください。
参考にした一次情報(すべて2026年8月28日に確認)
ESGファンドラボ リサーチ担当

サステナブル投資のリサーチを担当。ESG・環境・社会課題と投資の関わりを、中立的な視点でわかりやすくお届けします。数値は執筆時点の公式情報に基づき、投資判断は自己責任でお願いします。

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