COMPARISON / 買える人の範囲
個人向け国債プラスとは|個人向け国債との違いは「買える人」だけ
本記事は2026年10月21日時点で財務省が公開している資料をもとにした情報提供であり、特定の金融商品や金融機関の勧誘・推奨ではありません。個人向け国債は額面での償還が約束された商品ですが、中途換金時には一定の額が差し引かれ、金利の水準は発行月ごとに変わります。計算例は説明のための仮定で、実際の条件は財務省・取扱機関の最新情報をご確認ください。

結論から言うと、「個人向け国債プラス」は、いまの個人向け国債の販売先を一部の法人等に広げたものです。財務省によると、2026年12月募集分(2027年1月発行分)から、個人だけでなく学校法人やNPO法人、マンション管理組合などの「一般投資家」である法人等も買えるようになり、商品名が変わります。満期・金利の決め方・中途換金のルールといった商品の中身は変わりません。何が変わり、何が変わらないのかを、財務省の資料から中立的に整理します。
個人向け国債プラスは、いつから何が変わるのですか?
変わるのは、2026年12月募集分(2027年1月発行分)から、販売対象と商品名の2つです。財務省は、国債の安定保有層の拡大を図る観点から、これまで個人に限っていた販売対象を一部の法人等にも広げ、名前を「個人向け国債」から「個人向け国債プラス」に変えると説明しています。
| 比べる点 | 個人向け国債(2026年12月発行分まで) | 個人向け国債プラス(2027年1月発行分から) |
|---|---|---|
| 買える人 | 個人のみ | 個人と、一部の法人等(一般投資家) |
| 商品名 | 個人向け国債 | 個人向け国債プラス |
| 満期・金利・中途換金 | 変更なし(変動10年・固定5年・固定3年) | |
2026年12月以前に発行された個人向け国債の2027年1月以降の扱いについては、財務省のQ&Aに項目が設けられています。すでに持っている人は、取扱機関の案内とあわせて確かめてください。

新しく買えるようになる「一部の法人等」とは
金融商品取引法第2条第31項の「特定投資家」に当たらない、「一般投資家」である法人や団体です。財務省のページは、主な例を3つの区分に分けて挙げています。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 非営利法人 | 一般社団法人、一般財団法人、学校法人、医療法人、管理組合法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、宗教法人、税理士法人など |
| 非上場法人 | 非上場株式会社(資本金5億円未満)、合同会社、合資会社、合名会社 |
| その他 | マンション管理組合など |
並んでいるのは、学校や病院、福祉の現場、地域の住まいを支える団体です。こうした団体は、修繕積立金や運営の資金など、すぐには使わないけれど減らしたくないお金を持っていることがあります。その置き場の選択肢が1つ増える、と読むこともできるでしょう。

買えないのは、どんな法人ですか?
特定投資家に当たる法人です。財務省は販売対象外として、国、日本銀行、適格機関投資家(個人以外)、内閣府令で定める法人の4つを挙げています。
- 適格機関投資家の例:金融商品取引業者、投資法人、銀行、保険会社、信用金庫、労働金庫、農林中央金庫、短資会社など
- 内閣府令で定める法人の例:特殊法人・独立行政法人、特定目的会社、資本金5億円以上と見込まれる株式会社、上場株式会社、外国法人など
同じ株式会社でも、資本金5億円未満の非上場会社は対象に入り、上場会社や資本金5億円以上と見込まれる会社は対象外になります。境目は会社の大きさと上場の有無で、業種ではありません。なお、一般投資家から特定投資家に移った法人は対象外、特定投資家から一般投資家に移った法人は対象に含まれる扱いです。

商品の中身は、どこも変わらない
財務省は「商品のラインナップ及び基本的な商品性等に変更はありません」と書いています。いまの個人向け国債の条件を、そのまま写したのが次の表。
| 項目 | 変動10年 | 固定5年 | 固定3年 |
|---|---|---|---|
| 金利タイプ | 変動金利(6か月ごと) | 固定金利 | 固定金利 |
| 金利の決め方 | 基準金利×0.66(直近の10年債入札の平均落札利回り) | 基準金利−0.05%(期間5年の利付国債の想定利回り) | 基準金利−0.03%(期間3年の利付国債の想定利回り) |
| 金利の下限 | 0.05% | ||
| 発行・購入単位 | 毎月発行、最低1万円から1万円単位、上限なし | ||
| 販売価格・償還金額 | 額面100円につき100円(中途換金時も同じ) | ||
変動10年の利率は、6か月ごとに、そのときの10年国債の入札の結果を基に見直されます。固定の2つは、買った時点の利率が満期まで続きます。どちらにも0.05%の下限があるのは、金利がとても低かった時期の名残といえる仕組みです。
中途換金で差し引かれる「0.79685」とは
発行から1年たてば、いつでも中途換金ができます。そのとき、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。法人等が買った場合も、中途換金はできる仕組みです。
0.79685は、1から20.315%を引いた数です。20.315%は利子にかかる税率(所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%)なので、差し引かれるのは「税引後の利子の2回分」にあたります。仮に額面100万円・年0.8%の固定5年を1年半で換金すると、1回分の利子は税引前4,000円なので、差し引かれる額は4,000円×2回×0.79685=6,374円80銭、という計算です。
ポイント:中途換金しても額面の100円につき100円は戻りますが、直前2回分の利子相当額が差し引かれます。「元本が戻る」と「受け取った利子がすべて残る」は別の話として理解しておくとよいでしょう。上の計算例の利率は説明のための仮定です。

ESGの視点から、どう読めばよいのですか?
国債そのものはESGファンドではありません。グリーンボンドのように資金の使い道を環境分野に限った債券でもなく、国の一般的な財源になります。ESGかどうかで選ぶ商品とは、物差しが別。
そのうえで、販売先に非営利法人が並んでいる点は、社会的な活動をする団体の資金管理という意味で見ておく価値があります。団体の資金を国債に置くかどうかは、その団体の規程や資金の使い道しだいです。ESG投資と国債の違いを含めた考え方はESGファンドとは何かの記事、預金に置く場合の保護の範囲は外貨預金と預金保険の記事で整理しています。
よくある質問(FAQ)
- Q. 個人向け国債プラスは、個人も買えますか?
- 買えます。販売対象は「個人及び一部の法人等」で、個人がこれまでどおり買える点は変わりません。2026年12月募集分(2027年1月発行分)から、名前が個人向け国債プラスになります。
- Q. 金利や満期は、いまの個人向け国債と違いますか?
- 違いません。変動10年・固定5年・固定3年の3種類で、金利の決め方、0.05%の下限、毎月発行、1万円単位といった商品性はそのままです。
- Q. マンション管理組合は買えますか?
- 財務省は販売対象の例として、管理組合法人とマンション管理組合を挙げています。特定投資家に当たらない一般投資家であることが前提です。
- Q. 上場している会社は買えますか?
- 買えません。上場株式会社や資本金5億円以上と見込まれる株式会社は、内閣府令で定める法人として特定投資家に当たり、販売対象外です。
- 財務省「個人向け国債の法人等への販売対象拡大について」:https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/plus/(販売対象・対象外の法人・商品性・中途換金/2026年10月21日確認)
- 財務省「個人向け国債」:https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/
挿絵:いらすとや