ESGファンドラボサステナブル投資リサーチ
ホーム / ESG入門 / 実績平均利回りの但し書き

TRACK RECORD / 数字の母集団

実績平均利回りの但し書きを読む|2026年9月版

ESG入門公開:2026年9月6日最終更新:2026年9月6日文:凛

本記事は2026年9月6日時点で公開されている各社の情報をもとにした情報提供であり、特定の商品の勧誘や投資助言ではありません。融資型クラウドファンディングは預金ではなく、元本および利回りは保証されません。数値・条件は変更される場合があるため、投資の前に各社の公式ページと契約締結前交付書面をご確認ください。

※本記事には広告(PR)を含みます。

結論から言うと、「実績平均利回り」は運用が終わったファンドだけを集めた数字です。運用の途中にあるファンドと、償還が遅れているファンドは、その計算に入っていません。これは隠された事実ではなく、多くの場合サービス側が注記として自ら書いています。読み手がすべきことは、疑うことではなく注記まで含めて数字を受け取ることです。ここでは注記の読み方を中立的に整理します。

実績平均利回りとは何を集めた数字ですか?

運用を終えたファンドの利回りを平均した数字です。運用中のものは結果が出ていないため平均に入れようがなく、償還が遅れているものは結果が確定していません。したがって、この指標は構造上「終わったもの」だけで構成されます。

クラウドバンク(運営:日本クラウド証券株式会社)の公式トップには「実績平均利回り 6.35%」という表示があり、その下に注記が付いています。注記にはこう書かれています。「2026年3月末までの1年間に運用終了した税引前のファンド実績値。」

さらに続けて「将来の運用成果を保証するものではなく、運用中のファンドや償還が遅延しているファンドは含まれておりません」とあります。除外されているものが何かまで書かれている点が、確認の手がかりでしょう。

注記から読み取れる3つの条件

1つの注記に、少なくとも3つの条件が入っています。表に分解しました。

「実績平均利回り 6.35%」に付いている条件(クラウドバンク公式サイトの注記より整理・2026年9月6日確認)
条件注記の記載読み手が確認すること
集計期間2026年3月末までの1年間いつからいつまでか。期間を変えれば数字も動く
母集団運用終了したファンド。運用中・償還遅延中は含まない終わっていないものが外れている前提で読む
税の扱い税引前手取りベースではない

期間の影響は、同じ注記の中で確かめられます。1年間では6.35%ですが、「2026年3月末までの3年間に運用終了したファンドの税引前実績平均利回りは6.04%となっております」と併記されています。同じサービスでも、切り取る期間で水準は動く。

ポイント:数字そのものより、注記に「期間」「母集団」「税の前後」の3つが書かれているかを先に見ると、比較の土台が揃います。3つのうち1つでも欠けている表示は、他社の数字と並べる前に発行元へ確認するのが安全です。

累計の数字にも基準日が付いています

利回り以外の数字も同じ読み方をします。同社トップの「応募総額 3,335 億円 突破 ※1」という表示には、「※1 2026年9月現在の累計応募金額。」という基準日が添えられていました。

同じページの上部には「累計応募総額 3,300 億円突破」という別の表示もあり、こちらには基準日が見当たりません。同じサイトの中でも、基準日が添えられている表示とそうでない表示が並ぶことがあります。引用するなら、基準日が併記されている側を選ぶのが安全でしょう。

累計値は時間とともに増えるため、基準日のない累計額は比較に使えません。基準日が併記されているかどうかが、その数字を引用してよいかの判断材料になります。

— PR —

クラウドバンク ※上記は日本クラウド証券株式会社が運営するクラウドバンクの広告です。当サイトは提携先の紹介に関し成果報酬を受け取る場合があります。融資型クラウドファンディングは預金ではなく、元本および利回りは保証されません。表示されている実績値は過去の運用終了ファンドに基づくもので、将来の成果を保証しません。最新の条件は公式サイトでご確認ください。

運営元の登録区分は公式サイトの表示で確かめられます

数字の前提を読んだあとに見るのが、発行元の登録でしょう。クラウドバンクの公式サイトには「第一種・第二種金融商品取引業者: 関東財務局長(金商)第115号」と記載があり、加入協会として「日本証券業協会 加入」と表示されています。

同社は自らのサービスを「証券会社(第1種金融商品取引業者)が提供するクラウドファンディング」と説明しています。融資型クラウドファンディングそのものは、公式ページで「融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)」と位置づけられました。

登録番号は控えておき、金融庁が公表する登録業者の一覧と突き合わせるとよいでしょう。サイトに書かれていることと、名簿に載っていることを別々に確認するのが順序です。

資金が動かせない期間はどこに書かれていますか?

利回りと同じくらい重要なのが、資金の拘束です。同社のよくある質問には、投資申請のキャンセルについて「投資申請日を含めた8日以内であればキャンセルが可能です。」とあります。

その先の記載も見ておきましょう。「投資申請日(当日を含む)から8日を超えた場合には、ファンドの募集期間内であっても投資申請のキャンセルができず、また、運用中ファンドの中途解約も不可とさせていただいております。」

つまり、判断をやり直せる窓は8日間で閉じます。利回りの水準を比べる前に、この8日という区切りを把握しておくほうが実務的です。

費用と最低金額の案内

数字を並べましょう。最低投資金額は「最低投資金額は1万円となっており、1万円以上であれば1000円単位で投資できます。」という案内です。

費用については「口座の開設・維持・管理に関する手数料や取引毎の販売手数料等は一切いただいておりません」との記載でした。一方で「お客様がクラウドファンディング口座に入金する際の振込手数料はお客様にご負担いただきます。」ともあり、入金側は投資家負担です。出金は「日本円の出金手数料は無料です。」と案内され、最低出金金額は「原則1,000円」とされています。

分配の頻度にも記載がありました。「分配金は原則として毎月お客様のクラウドファンディング口座に支払われるため、単利での運用になります。」。受け取った分配金は自動では再投資されないという意味になります。

口座開設の条件はどこまで公開されていますか?

年齢の上限は明示されていました。「満80歳以上のお客様には、誠に申し訳ございませんが、口座開設をお断りしております。」

日数の目安も公開されています。

所要日数は「口座開設のお申込みから最短3営業日となります。」とされました。オンライン本人確認を使う場合は「お申込み日の最短翌営業日からお取引を開始できます。」という案内です。

確認する順番はどうすればよいですか?

手を動かす順番としては、次の流れが整理しやすいでしょう。

  1. 利回り表示の注記を読む。期間・母集団・税の前後の3点が書かれているかを見ます。
  2. 累計値の基準日を確認する。基準日のない累計額は、他社と比べる材料にしません。
  3. 登録番号を控えて突き合わせる。サイトの記載と公的な一覧を別々に確認します。
  4. 資金が拘束される期間を把握する。キャンセルできる期限と、中途解約の可否を読みます。
  5. 元本と分配のリスク注記を読む。遅延が起きたときに何が起きるかまで確認します。

リスクの記載も引用しておきます。「預金ではございませんので、利回りや元本は保証されておりません。」「融資先からの利息の支払いや元本の返済が遅延した場合または行われなかった場合、お客様への分配・償還も遅延または行われない可能性があります。」。一方で「損失額が出資額を超えることはありません。」という記載もあり、損失の上限は出資額であると説明されています。

数字を疑う必要はありません。必要なのは、その数字がどの範囲を指しているかを、同じ画面の中で確かめることです。ESGの観点で資金使途を選ぶ方法は融資型クラウドファンディングはESGで選べる?で整理しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 実績平均利回りはどの範囲の数字ですか?
運用が終わったファンドだけの数字です。クラウドバンクの注記は「2026年3月末までの1年間に運用終了した税引前のファンド実績値」と期間を区切ったうえで、「将来の運用成果を保証するものではなく、運用中のファンドや償還が遅延しているファンドは含まれておりません」と明記しています。母集団の外にあるものが何かまで書かれている点が確認の手がかりになります。
Q. 期間が変わると数字も変わりますか?
変わります。同じ注記の中で、1年間の実績平均利回りが6.35%であるのに対し、「2026年3月末までの3年間に運用終了したファンドの税引前実績平均利回りは6.04%となっております」と併記されています。同じサービスでも、集計期間の取り方で表示される水準は動きます。
Q. 税引前と税引後のどちらですか?
税引前です。注記に「税引前のファンド実績値」と明示されています。実際に受け取る分配金からは所定の税が差し引かれるため、手取りベースの利回りは表示より低くなります。表示の前提を確認せずに他の商品と並べると、比較の土台がずれます。
Q. 元本は保証されますか?
保証されません。同社は「預金ではございませんので、利回りや元本は保証されておりません。」と記載しています。あわせて分配・償還が遅延する可能性についての説明もあります。一方で「損失額が出資額を超えることはありません。」とも明記されています。
参考にした一次情報・公的資料
ESGファンドラボ リサーチ担当

サステナブル投資のリサーチを担当。ESG・環境・社会課題と投資の関わりを、中立的な視点でわかりやすくお届けします。数値は執筆時点の公式情報に基づき、投資判断は自己責任でお願いします。

← ESGファンドラボ トップへ戻る